FC2ブログ
 

西山水木の鶏頭と蠍尾

マチスのピンク

悩ませられた腰の激痛から開放されて、やっと積もり積もった問題を整理して考える余裕ができた。 ホテルの隣の鹿児島市立美術館に「マチスのジャズ」展を見に行く。 客は私と三十代半ばくらいの女性ひとりだけ。展示場の真ん中の椅子になんとなく一緒に座って、マチスの画にぐるりと囲まれていた。 私はマチスのピンクが好きだが、ピンクの置き方が好きだったのだと気付いた。私がアンの最初の頃嫌がり、小峰公子がこだわった「さし色」について今更初めてわかった気がした。偉そうに何を演出家ぶって意見していたんだろう?今やっと小峰公子の眼が私に見えた。そして、愚鈍な私に理解されない彼女の孤高を感じて泣きそうになった。 ふと、もうひとりの鑑賞者を盗み見ると、小さな手で顔を隠して静かに泣いている。 ! 逃げ出して常設展に移動した。 見事に私一人。 モネがいる。ルノワールがいる。ダリもピカソもカンディンスキーもウォーホルさえもいる。画の中から優しい手が伸びてきて私を撫でてくれている。 勇気を出して溜まったメールを読み返す。何度も。丁寧に。私の今できる誠意はそれだけ。 私の生業である「感情移入」。この作業がちゃんとできなければ、私は生きている価値さえない。

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 
 

トラックバックトラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)